『マイクロソフトでは出会えなかった天職
ー僕はこうして社会起業家になった』
ジョン・ウッド著
ランダムハウス講談社
いやー、久しぶりに衝撃的な本でした。
あらすじはマイクロソフトの重役についていたジョン・ウッドが休暇をネパールで過ごした時の出会いがきっかけで会社をやめ、世界の子どもたちのために学校や図書館をたてる組織「Room to Read」の設立、その変遷です。
原題はLeaving Microsoft to Change the Worldで私が最初に読んだのはPenguin Readers Level 3だった。Penguin〜は全文ではなくて英語の学習者向けにリライトされているものだったからちゃんと全文を読んでみたくて、今回翻訳本を読んでみた次第(原作はまだわたしにはちゃんと読めなさそうだし、その内ね…)。
何が衝撃だったかというと、なによりも「文字が読めない人達がいる」という事実について。あの、そういう人達がいるということを情報としてそれを知らなかったわけではないのだけど、それを自分の中で消化して「知っていた」わけではなかったんですね、今まで。
わたしにとって初めてこの本に接したのが英語だったっていうのは大きかったと思う。自分がとても大好きな本、そして読書を英語でも出来ればいいな〜くらいのぬるい気持ちで洋書よみを始めた2011年だけど、一方、世界には外国語どころか自分の母語すらまともに読めない人たちが大勢いる。仮に読めたとしても、読む本がない。
そんな人生ってありえる?
ありえないよ!
私は余暇の大半は、いや余暇じゃなくても起きている時の大半は読むことが中心。ネットサーフィンだって、漫画だって文字が読めなきゃ楽しめないよ。テレビだってキャプションが付いている。ブログだって書けないし、ネットで知り合った人たちにも文字が読めなきゃ出会えなかった。てか、大変なことにわたしの場合はオット氏と結婚出来なかった!
自分が当たり前だと思っていた教育、自分が当たり前だと思っていた文字を読むこと、自分が大好きな読書、自分がしょっちゅう通っている図書館…
そういうのが一切ない、欲しくても手に入れられない人達がいるって衝撃的だった。
ジョン・ウッド自身その事実に動かされてRoom to Readを始めた。彼はマイクロソフトを辞め、恐るべき情熱とスピードで資金を集め人を集めプロジェクトを成功させてきている。ちなみにマイクロソフト退職したけど、マイクロソフトは駄目だ、じゃなくて、マイクロソフトでの体験をRoom to Readの組織づくりに活かそうとしていてそこらへんはバランスとれている人なんだなあって好感が持てた。私は組織の運営とかそういうのには疎いのだけどそういうところも興味深かったです。
この本をPenguin〜で読んで以来、そういう情報に目が行くようになってしまった。間違いなく今年一番影響を受けている本だと思う。
本を愛し読書を愛する全ての人にこの本を読んでもらいたいです。
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リンク
Room to Read(日本語)
Room to Read(英語)